これは、15年位前、語学留学でアメリカに来ていた生徒の1人が
「よくわからないので教えて欲しい」と言ったことから始まった。
その生徒は、(日本語で書かれたサイトの)インターネットや、独自に本で調べたものを
プリントアウトして沢山持ってきていて、例文と例題(+答)が説明付きで書いてあった。
でも、その内容には「あれれ?」と思うものが多かったので、今回取り上げてみようと思う。
comeは「来る」、goは「行く」。
・・・これは誰でも知っている。
が、その生徒いわく、comeが文の中で使われると、「行く」という意味なる場合がある・法則が
あるということが、理解し難いのだと言うことだった。
日本では、comeとgoの使い分け方として、
例えば、話している相手に近づいていくのはcomeになる(comeでないといけない)とか、話している相手の立場で考えて使い分けないといけない・・・・という様に、いくつかのルールや考え方が、教えられているようだ。
確かに、その生徒といっしょに見たサイトでも本でも、そのルールにそった例文や問題が作られ、答えと解説が載っていた。
でも、その説明や例題、答えとして示されている内容を見て、日本人をより迷わせ、わかりにくくさせている元凶かもしれないと感じたので、ここで取り上げてみようと思う。
例えば、あるサイトでは、
・Tom and I will go to the movies. Would you ( come, go, 両方使える) with us?
・ I will ( come, go, 両方使える) to your party.
という問題が出題されて、答えはどちらもcomeだと書いてあった。
でも、実際は2問ともcomeでもgoでもOK。
つまり、「両方使える」というのが正解である。
そして、それとは別の他のサイトからコピーしてきていたものに、
A: We are having a party at Savoy from 11:00 tonight. Can you come?
B: Of course. I’ll come and bring something to drink.
という会話文がのっていて、A、Bともcomeを使わないといけないと書いてあった。
Bのcomeについては、
……and bring something to drink という文がひっついているので、確かにcomeでないといけないが、
Aのcomeは、goを使っても全然問題ない。
※Bの文でも、もし、・・・and I bring something・・・・の文がついてなければ、
I’ll come. でも I’ll go. でもOK.※
また、それとは全然別のサイトでは、comeを使わないといけないものとして紹介されていた
例文で、
I will come to you tomorrow.
私は明日、あなたのところへ行きます。
というものがあった。
この例文は、英語を教えている日本人指導者が、おかしいとわからず使っているのだと思うが、
comeを使うかgoを使うか以前に、なぜこの英文を例題にするの?と思ってしまう文だ。
もちろん、文法的は問題はないし、訳もあっている。が、この文をネイティブが聞いたら、
麻薬の取りひき等、悪い事をする為にどこかで待ち合わせをしていて会いに行くのかな?
と思うような、あやしさや不思議さを感じる。
ということで、
ここではまずこの例文自体を自然な英文に直してから考えてみよう。
私は明日あなたのところへ行きます。
I will go to your (place or house) tomorrow.
この文で、go の部分を、comeに置き換えても大丈夫でしょうか?
どちらでもOKでしょうか?
その答えは・・・・
goでもcomeでも使える。
です。
-----今、ここに書いたのは、ほんの一例。
でも、独自に検索してみた日本語で書かれたサイトのほとんどに、あれれ?なものが、これが正しい、こうじゃないといけない!と説明されていたので、もし、間違ったルールを教えこまれた人がいたら、この機会に本当のことを知っておいた方がいいと思う。
簡単にまとめると
comeが「行く」という訳になって使われるのは・・・・
誰かが玄関にたずねてきたり、誰かに「ご飯よ~・・」と呼ばれた時の
お決まりの答え方である I’m coming.「今行きます」 とか
Can I come over?「(あなたのところに遊びに)行ってもいい?」
(※Come over =遊びに行く、立ち寄る)という様な、決まりきった使い方、表現をする時等、
特定の場合のみ。
それ以外は、基本的に日本語で「行く」と訳すものはgo、「来る」と訳すものはcome を使うと
考えておけばいいと思う。
もちろん、これは基本的考え方なので、例外も出てくるかもしれないが、
comeとgoについては、実際にいくつかの英文や、間違えの無い実践的な英文を見たり読んだりする事で感覚的に身につける事が出来るので、わざわざややこしい(しかも間違った)法則を覚えこむ必要はないと思う。
次の回では、comeとgoの使い方を例文を出して紹介してみます。
それを見れば、わざわざ勉強し直すほどのことではないという事が
よりはっきりとわかってもらえるはず。
ということで、今日はここまで。
読んでくれてありがとう!